先日、ある講演で「女性の1日の摂取カロリーが飢餓状態である1,600程しかなく、妊娠してもそれは変わらない」との問題提起がされていました。
調べてみると、やはり1日の摂取カロリーが減ると共に各種ビタミンの摂取量も減り胎児への影響もあるとのことでした。胎児への影響と摂取栄養素の関係は多くの研究がされており、有名なところでは「オランダの冬の飢餓事件」があり第二次世界大戦末期にドイツに1ヶ月間食料が遮断された事件があります。
この事件により、母親の低栄養は子供の成人病を多発させ、リスクを上昇させることや神経へ影響し自殺が非常に多いことなどが調査により明らかとなっています。
また、胎児期の低栄養は遺伝子の働きをかえることが知られており、その影響は3世代続くと言われています。その他にも低体重の赤ちゃんは正常体重の赤ちゃんと比べ、帝王切開での分娩の割合が2倍ほど高いことが知られています。計画的な帝王切開での分娩も含まれていますが、緊急に帝王切開で分娩できない状況が多いことを意味しています。さらに、帝王切開での分娩は1型糖尿病の頻度が高いことが知られています。
講演の最後には、女性の現在の摂取カロリーは飢餓状態である1,600キロカロリー以下が増えている。また、低体重の赤ん坊も増えている。これらのことは、医療費の増加や低体重であるがための様々なリスクに良り、将来の日本経済に多大な影響を与えるのではないかと提案されていました。
参考までに、2014年の国民健康・栄養調査から20代、30代、40代、50代のBMIで示されたやせ・普通・肥満の割合をグラフにしましたので紹介します。