練習や試合の食事戦略は、パフォーマンスの向上と疲労の回復や筋肉の修復に大きく影響します。本来であれば、その方にあった食事戦略を管理栄養士やアスリートフードマイスターと一緒に考えることが適切です。しかし、スポーツと食事戦略を聞くことができる管理栄養士やアスリートフードマイスターが周りにいないのが一般的です。
そこで、これまでの経験を踏まえてスポーツと食事戦略に興味がある方に伝えたい糖質、たんぱく質脂質の食事戦略で気をつけたいことを簡単に紹介します。
糖質中心の食事からエネルギー源を確保する
糖質は、特に激しい運動中の主要なエネルギー源です。練習や試合の前には、適度に糖質を摂取することが重要です。一般的には炭水化物とも呼ばれていますが、賢い食事選択をするためにも糖質と炭水化物の違いを理解することが重要です。
食の分野では糖質と食物繊維の総称を炭水化物と呼んでいます。
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そのため、極端な例になりますが、炭水化物の量だけに注目してしまうと実は糖質ではなく食物繊維を食べていた!ということにもなりかねません。
ですので、特にコンビニやスーパー、ネットで糖質が多い加工食品(エナジーバーやゼリー、清涼飲料水など)を購入する場合は必ず、商品の裏面の「栄養成分表示」を確認し、炭水化物だけでなく糖質の量を確認しましょう。全ての商品に糖質の量が記載されているわけではありませんが、食事戦略では糖質の量が重要です。糖質と脂質の量を確認するようにしましょう。
おすすめの食事は米、全粒パン、パスタ、バナナなどがあります。特におにぎりは具を自分の好みに合わせて変更できたり、持ち運びが簡単なのでおすすめです。おすすめの具は何かと聞かれた場合は「鮭が良いのでは」と回答しています。理由はスーパーなどでビン詰めの鮭フレークなどがありますので、簡単に作れるからです。
アスリートは運動するだけでなく、パフォーマンスを支える食事を自分で作ることも重要です。お米が高い状況が続いていますが、サプリメントなどを購入するよりコストがかかりませんので、ぜひお試しください。
次に食事のタイミングは、試合や練習の2〜3時間前におなかがいっぱいにならない程度に食べることをおすすめします。おにぎりやバナナであれば1つが目安です。
この理由ですが、運動直前やおなかいっぱいに食べると胃に食べ物が残った状態になり、運動パフォーマンスが低下してしまうからです。
2〜3時間前であれば、食べたおにぎりやバナナは胃を通過していますので、食べた栄養素の吸収が始まり、糖質から運動に必要なエネルギーをつくりだすことが可能です。
結果として持久力を向上させることが考えられています。
たんぱく質で筋肉をサポート
筋肉の修復と発達をサポートするために、1日のたんぱく質摂取を意識することが重要です。目安として体重1kg当たり1.3 gのたんぱく質量です。体重60 kgで78gのたんぱく質量になります。
重要なことは必要量を1回の食事でとるのではなく、3回の食事でとることです。
なぜかというと、筋肉は常に分解と合成を繰り返しているからです。
日常範囲であれば分解と合成は同程度なのですが、筋トレなどの激しい運動の場合は一時的に分解が強くなります。しかし、この時に十分なたんぱく質を作るアミノ酸が体内にあると、筋肉の分解ではなく合成が進むことが知られています。
また、筋トレの効果は一時的ではなく、ある程度続き、糖質とたんぱく質のバランスが良い食事を食べると効果が高まることが知られています。
ですので、筋肉の健康を考えた場合にはたんぱく質を多くたべても効果が低いので、糖質とたんぱく質を組み合わせることが重要です。
おすすめの食事は鶏むね肉、卵、魚(サケ、マグロなど)、大豆製品、乳製品(ヨーグルトや低脂肪牛乳)などです。また、練習後30分以内にたんぱく質と炭水化物を組み合わせたバランスの取れた食事を食べることが重要です。
脂質は適度に
脂質は糖質よりも高いエネルギー源であることが知られていますが、他の栄養素と比べて消化に時間がかかります。そのため、試合直前や練習前には高脂肪食を避けたほうが良いでしょう。
あなたのからだにいい「食事」を考える情報となりますように。