から食:クロレラ博士になろう!健康食品クロレラのことをまとめました。

から食
スポンサーリンク

クロレラは、約20億年前に誕生したとされる単細胞緑藻類です。豊富な栄養素と優れた機能性を持つことから、健康食品として、近年注目されています。また、バイオ燃料生産藻類の候補としても期待されており、オイルの産生をコントロールできるようになってきています 。そこで、クロレラの機能性と栄養特性について、最新の研究成果も踏まえて紹介します。

スポンサーリンク

クロレラの基礎情報

分類と歴史

クロレラは、トレボウクシア藻綱に属する淡水性の単細胞緑藻です。植物学的には、緑色植物門・緑藻綱・クロロコックム目・オオシスティス科・クロレラ属に分類されます。
クロレラという名前は、ギリシャ語のchloros(緑の)と、ラテン語のella(小さいもの)を組み合わせたもので、1890年にオランダの微生物学者バイエリンクによって命名されました。
クロレラは、その高い増殖率と豊富なタンパク質含有量から、第一次世界大戦中のドイツで食糧源としての利用が検討されました。第二次世界大戦後には、アメリカの紹介で日本では、国の方針として食糧化研究が活発に行われました 。初期の研究は、東京大学の田宮博 博士らが主導となり、東京の徳川生物学研究所で屋外大量培養研究がおこなわれ、大きな役割を果たしました。

国立栄養研究所などでは料理の味を調える機能研究、名古屋の小学校で給食にクロレラが採用されるなど食糧としての研究が進みました。その後、健康効果が発見されるにつれて、健康食品として世界中で利用されるようになりました 。

生態

クロレラは、湖沼や河川などに生息する直径3~8μmのほぼ球形の単細胞緑藻です。光合成によって成長し、20時間で4分裂という驚異的なスピードで増殖します。細胞壁は厚く、内部を保護する役割を担っています。ただし、一部の株、例えば「チクゴ株」などは、細胞壁が薄いという特徴も持っています。クロレラには約20種類の種があり、それぞれの種の中に無数の株が存在します。株ごとに形状や栄養素が異なり、それぞれ独自の個性を持っています。

クロレラの栄養特性

クロレラは、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、さまざまな栄養素を豊富に含んでいます。また、1970年代には「アルカリ性食品の王様」とも呼ばれ、その栄養価の高さから、健康食品として広く利用されるようになりました。現代ではアルカリ性食品、酸性食品の分類はおこなわれていないので注意が必要です。

クロレラの栄養特性を紹介します。

タンパク質

クロレラは、乾燥重量の約60%がタンパク質で構成されています。これは、大豆の約2倍に相当します。クロレラに含まれるタンパク質は、必須アミノ酸を含む良質なタンパク質です。

ビタミン

クロレラは、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンKなど、さまざまなビタミンを含んでいます。特に、ビタミンB12は、植物性食品には珍しく、ベジタリアンやビーガンにとって貴重な供給源となります。

食物繊維

クロレラは、食物繊維も豊富に含んでいます。食物繊維は、腸内環境を整え、便秘の予防や改善に役立ちます。

クロレラの機能性成分

クロレラには、クロロフィル、カロテノイド、核酸など、さまざまな機能性成分が含まれています。

クロロフィル

クロロフィルは、植物の葉緑体に含まれる緑色の色素です。クロレラは、他の陸上植物よりも多くのクロロフィル(2.5%以上)を含んでいます。クロロフィルには、抗酸化作用、抗炎症作用、免疫機能の改善、解毒作用、遺伝毒性の抑制などが報告されています。

カロテノイド

カロテノイドは、植物に含まれる黄、赤、橙色の色素成分です。クロレラには、β-カロテン、ルテイン、ゼアキサンチンなどのカロテノイドが含まれています。カロテノイドには、抗酸化作用、免疫機能の維持、動脈硬化や老化の予防、目の健康維持など、さまざまな効果が期待されています。

核酸

クロレラには、RNA、DNAなどの核酸関連物質が含まれています 8。クロレラ特有の成長因子であるCGF (Chlorella Growth Factor) は、核酸やアミノ酸の複合体で、免疫機能の活性化や細胞の成長促進などに効果があるとされています。CGFは、クロレラの生命力に深く関わっており、その増殖スピードの速さに貢献しているとクロレラメーカーが主張しています。なお、CGFは賛否両論がある成分です。ですので、機能性の主張は冷静に判断するのが良いと思います。

クロレラの健康効果

クロレラは、さまざまな健康効果が期待されています。

生活習慣病の予防

クロレラは、血中コレステロールの低下作用、抗アレルギー作用、抗腫瘍作用、血圧低下作用、免疫力低下抑制作用などが報告されています。

腸内環境の改善

クロレラに含まれる食物繊維は、腸内環境を整え、便秘の予防や改善に役立ちます。また、クロレラは、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす効果も期待されています。腸内環境を改善することで短鎖脂肪酸の一種のプロピオン酸量が増加することが報告されています。短鎖脂肪酸は筋肉で速やかに利用される成分です。クロレラがアスリートで摂取されている理由の一つかもしれません。

デトックス効果

クロレラは、体内の有害物質を排出するデトックス効果も期待されています。クロレラに含まれるクロロフィルや食物繊維は、腸内で有害物質に吸着し、排出を促進します。

抗酸化作用

クロレラに含まれるクロロフィルやカロテノイドは、強力な抗酸化作用を持っています。抗酸化作用は、活性酸素による細胞のダメージを防ぎ、老化や生活習慣病の予防に役立ちます。

認知機能の改善

クロレラは、認知機能の改善にも効果が期待されています。クロレラに含まれるルテインは、脳細胞への酸素供給を促し、認知機能の低下を抑制する可能性があります。

その他の健康効果

クロレラは、その他にも、貧血の予防、疲労回復、美肌効果など、さまざまな効果が期待されることが報告されています。

クロレラの安全性

クロレラは、通常の食品として摂取する場合は安全とされています。しかし、過剰摂取や体質によっては、下痢や腹痛などの消化器症状、光線過敏症、アレルギー症状などが現れることがあります。また、ビタミンKを多く含むため、ワルファリンなどの抗血液凝固剤を服用している方は注意が必要です。

クロレラ製品の種類と選び方

クロレラ製品には、錠剤、粉末、ドリンクなど、さまざまな種類があります。

製品を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。

  • 細胞壁の破砕処理:クロレラの細胞壁は硬いため、消化吸収率を高めるために、細胞壁を破砕する処理がされている製品を選びましょう。細胞壁破砕の技術には、ダイノーミルを用いた物理的な方法や、加熱処理によって細胞壁にひび割れを入れる方法などがあります。
  • 飲みやすさ:錠剤、粉末、ドリンクなど、さまざまな形状があります。自分のライフスタイルに合った形状を選びましょう。
  • 配合成分:クロレラ以外の成分が配合されている製品もあります。目的に合わせて、必要な成分が配合されている製品を選びましょう。
  • 品質:JHFAマークやGMP認定工場生産など、品質が保証されている製品を選びましょう。

持続可能性と環境への応クロレラに関する最新情報

研究動向

クロレラに関する研究は、近年ますます盛んに行われています。最新の研究では、クロレラが樹状細胞に作用するメカニズムや、乳酸菌増殖活性成分の同定などが報告されています。また、ショウジョウバエを用いた実験で、クロレラの摂取が健康寿命の延伸に効果があることが示唆されています。

応用

クロレラは、健康食品や医薬品だけでなく、農業や水産業など、さまざまな分野で応用されています。農業では、土壌改良剤や葉面散布剤として利用され、水産業では、稚魚の飼料として利用されています。また、食品分野では、着色料や品質改良剤として利用されています。

クロレラは、豊富な栄養素と優れた機能性を持つ、持続可能な社会の実現に貢献できる可能性を秘めた素材です。健康食品としての利用はもちろんのこと、食糧問題、環境問題、エネルギー問題など、さまざまな課題の解決に役立つことが期待されます。最新の研究成果によって、クロレラの新たな可能性が次々と明らかになってきており、今後のさらなる研究の進展と、幅広い分野での活用が期待されます。


あなたのからだにいい情報となりますように。

タイトルとURLをコピーしました